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2016年5月16日月曜日

独立・開業を支援するには道が2つある

独立・開業を支援する専門家の立ち位置を考えた時に、「ビジネスとして独立・開業の支援を行う」のには道が2つあると思います。

1.公的な立場やバックボーンを獲得する

例えば市や県などの行政がやっている経営支援機関などへ専門家として所属するという方法。あるいはまた、行政でなくても商工会議所や商工会、あるいは法人会などの民間の支援機関に属して、そういう「組織力」をバックに独立・開業を支援する仕事にありつくという方法。

脱サラして独立開業しようという方や、二代目三代目で親の跡を継いで事業の展開を図ろうとしている方の多くは、こういう行政機関や商工会議所のような支援機関に相談しに来たり支援を求めたりしますので、こういう組織や団体に属していれば「支援するべき相手=顧客」に出会える機会を獲得できるという期待はあります。

また、フリーランスのITCではなかなか得にくかったり、かなり努力しなければ獲得できない情報・・・たとえば補助金や助成金の情報とか、あるいは開業予定者の情報など・・・を得やすいというのもメリットです。

ただデメリットもあります。

基本的に行政や商工会議所など半官半民みたいな支援機関は、「国の支援政策を上手に活用しよう」という着地点を目指して誘導する支援ノウハウがほとんどなので、そういうモノとそぐわない開業希望者や小規模企業経営者と出会う事があまりない、という点。
また、そういう機関や団体へ所属したり専門家として登録している以上、そういった「国の政策に乗っかって後押しする」というスタンスから大きく反するわけにはいきません。
なので、独立独歩、ご自分の価値観・正義感・倫理観などに従って誰からの指示や軋轢もなく、本当に顧客(=独立開業希望者、小規模企業経営者)にとって最適な支援をしたい、と思う方の場合には、こういう風に団体や組織の下で支援業務に携わるという方法には、ある程度つかず離れず距離をおいたほうが良いかもしれません。

2.独自の開拓で顧客を獲得し支援する

もう一つは1.の真逆です。公的な機関や団体に所属するメリットを全て捨てて、ご自分独自の人脈やチャネルを通じて顧客を獲得し支援するという方法。

このスタイルだと、行政とか商工会議所とかそういった団体からの圧力や暗黙のルールなどに縛られることなく、ご自分独自の考えで支援を行うことが出来ます。
例えば「事業計画を作るのに助成金や補助金申請のフォーマットに合わせて作るなんてことしたら、現実から乖離して実効性がなくなってしまう。そういう計画や戦略は、ちゃんとその企業の現実に即したものを作るべきだ」と考えて支援する、なんていうことも出来ます。(←というか、その逆、1,のスタンスだとこういうことが出来ないんだと思ってください)

支援のスタイルをきちんと確立して独自の視点・思想で顧客支援が出来れば、その暁には顧客からの絶大な信頼が獲得できることは間違いありません。
だって、1.のスタイルのように「結果的にもともと用意されたレールに乗せて数字合わせに付き合わされる」というような透けて見えるモノがなく、完全に顧客(=経営者ご本人)の利益や立場に寄り添う支援を行うことになるわけですから、ね。

ただ、当然これにはデメリットもつきまといます。
ひとつはもちろん、1.のような公的な組織団体に所属しないので、「支援すべき顧客と出会う機会・場を全部自分で開拓しなければならない」という点。この点は非常に労力がかかり、ともするとご自分の事業そのものの足を引っ張りかねません。

もうひとつは、上記のデメリットに起因します。出会いの場が限られてくる結果、支援する先も「数をこなす」よりは「少ない客先の質で勝負する」ということになります。それはそれで「数より質で勝負」と強みにも転換できるのですが、こういう起業支援や事業支援という仕事は、その性格上ある程度たくさんの業界・業種・市場を経験して知見を広めるという必要もあります。
「質」で勝負と意気込んでいるあまり、いつのまにか「限られた、偏った知識」に囚われてしまうというデメリット。
これはもちろん、ご自分で自覚していれば矯正できるものではありますから恐れる必要はないのですが、常にこのことは自覚しておくべきです。

実際には両刀使い

で、1,2のどちらを行くべきか?という迷い方をするようではダメだと思います。これらの方法は、同時にひとつの顧客へ適用するのはムリがありますが、スタイルとしてどちらのスタイルも獲得しておくというのは出来ないことではありません。

一方で多くの企業予備軍の方たちと出会う場に入り込んで色々情報や人脈を獲得し、そういう「パターン」に当てはめれば良い顧客はそういう方法で支援して成果を上げる。
かたやもう一方で「補助金ありき」「広く浅くの付き合い」とは真逆の顧客獲得の努力を続け、いざこういう顧客を獲得できたら、補助金とか公的機関とかそういうしがらみを一切抜きにして全力投球で支援する。

そういう風にバランスを上手に保ちながら専門家としての知見をどんどんアップさせていくのが、本当は理想なんだろうと思います。

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