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2019年9月1日日曜日

本当の小規模事業者とはどんな感じか

なんと気がついたら1年ぶりの投稿。(プライベートなブログの方へはほぼ毎日アホウな事を書いておりますが^^;)

「小規模事業者の支援」という事をうたって支援をする方が最近増えてきた・・・あ、いやもしかして「増えた」のではなく「今までちゃんとそこここで活動されてきていたのが、目立つようになってきた」のかもしれませんが・・・ように思います。

ガッツリ、本当に現場へ行ってとことん支援をしている方とお話すると、色々「うんうん」という事が多いのですが、同じように小規模支援をされているという方と情報交換・ディスカッションをしていて、ものすごく大きな違和感を感じることがあります。
今回は、その事を少しだけ書いてみようと思います。

【軽減税率対策・キャッシュレス決済の支援現場から】
小規模事業者の支援をしていて最近のトレンドと言えば、やはり「軽減税率対策」と「キャッシュレス決済導入」でしょう。(POSレジ導入も含めて、ね)
そういう支援現場の話をしていると、僕の立場から見ると「違和感」に見えるこんな事があります。

キャッシュレス決済の相談を受けて、どの決済事業者を選んだら良いか、導入したらどのように活用すればよいかを質問される。その質問内容について、専門家の立場からいろんな情報をわかりやすく説明し、決済事業者をどこにするか、導入したらどうすればよいのかを事業者へ理解していただき、できれば相談の間に決済事業者を決めてもらって今後の見通しを立てる。

・・・これが僕にはどうにも違和感なのです。何が違和感なのかって?

その後の「決済事業者への登録手続き」の支援・・・というか手続きをする作業は手伝わないの?導入後に起こるトラブルや疑問の解決など、様々生じる事への対応はしないの?
こういう相談をしてくる事業者さんていうのは、大抵の場合「Webで申し込み」と言われてもどうすればよいか途方に暮れるような方が大半です。
また、導入できたとしても、「年配のパートさんが覚えられないから大変」とか「ネット環境が悪くて切断することがあってトラブル頻発」とか、あるいは「導入してみたは良いんだけど実際やってみたら他の決済事業者へも登録しておく必要が出てきた」なんて感じで、やればやるほどどんどん問題が連発してきます。

一部の専門家の方あるいは小規模支援を語る方たちの中には

「そういう、リテラシーやスキルの低い事業者さんを最後まで支援するのは支援対象としてはマイノリティな方に属しているんであって、そんな支援はナンセンスだ。そもそもその程度のことは自力で解決します、っていうくらいやる気と覚悟がある事業者を支援すればよいのであって、そうでない事業者まで対応などしていられない」

と豪語する方もいます。

けど、、ね、、、

僕はこの「小規模事業者だけ」を専門に18年間、こういう支援を続けてきていて、この2年間くらいの間はキャッシュレス決済の導入支援を、数えてみたら地元を中心に46件くらい支援していますが、この46件の事業者様は、ほぼ例外なくすべて上記のような「出来ない」「分からない」「どうすれば良い?」という質問・相談が連発しました。
言い換えれば、46件(キャッシュレス決済以外の支援案件も含めれば、多分70~80くらい)の案件殆どで、「本来事業者さま本人が自分でやれば良い手続き」というのを、その場で一緒になって手伝ったり、手続きするのを補助したり、そういう事をしているんです。

僕が2年間で出会っている小規模事業者さんたちが、全て「マイノリティ」つまり「少数派」に属すると言うのなら、そう指摘していただきたい。
僕が700日も800日も這いずり回って出会ってきた事業者さん以外の事業者さんは、ほぼ全て「そんな支援受けなくても自力で解決できるからヒントだけ貰えればOK」という、能力も資質も支援の必要がないくらい高い方たちだと言うのなら、指摘していただきたい。

けど、やっぱり僕は自分の経験を信じたい。

経営力やIT活用力の向上を支援し、商売繁盛の下支えをするべき小規模事業者の本当の姿は、
  • 「ネットで手続を」と言われても何をどうしていいか分からないから、一緒に画面を見ながら手伝ってほしい
  • あとはサポートセンターへ電話すれば教えてもらえるからと言われても、そのサポートセンターへ電話して「もしもし」の後に何て言えば良いかわからないから、一度サポートセンターへ電話するところをお手本見せてほしい
  • そもそも何がどうなってるのか不安で仕方ないから、とにかく一緒に色々考えたり手を動かして欲しい
っていう方が大半なんだと思います。
だから、本当に小規模事業者支援をしようとするのなら、
  • キャッシュレス決済支援しようとしたらネット環境の仕様や契約情報が分からなくて、それを調査するところから全部手伝う・・・とか
  • そもそもスマホ・タブレットを使ったこと無いから、スマホの使い方指導からはじめてキャッシュレス決済手続きまでをレクチャーする・・・とか
  • 嫌がる(分からないとダダをこねる)高齢のパートさんたちにも分かってもらえるような説明・説得をしてお店全体で取り組んでもらえるようにモチベーションを高める手伝いをする・・・とか
そういう「本来の支援業務」とは関係ないように見えるような、ドロ臭い面倒くさいことをひとつひとつクリアして、亀どころか牛歩の進みのような歩みを一緒に進んでいくためのありとあらゆる能力・資質が必要になってくると思うんです。

支援機関さんと一緒に訪問して、1時間か2時間のヒアリングと指導で「小規模事業者支援をしてきた」なんて言う話は、もうホントに違和感ばっかりで^^;
その場で、こっちからは名刺を渡し、相手の事業主さんからは名刺もってなくても電話番号とかLINEとかとにかく聞き出して、連絡が取れるようにして、訪問後に湧いて出てきたアレコレを相談できるようにして、2時間の訪問で話した内容を実際にお店でやろうとして本当に出来るようになるまで電話を受け、メールで返事をし、LINEでメッセージや写真を送ったりして・・・

多分世の中の「小規模事業者」と言われる事業主さんの大多数(圧倒的多数)が、そういう「手取り足取り、なんなら一緒にやりましょうか」っていう支援を必要としているんだと思います。

そんな中で「訪問して、助言して、あとはご自分で頑張ってくださいね」的な支援をするというのは、僕にとってはものすごい違和感なのです。

あ、ちなみに念の為にもう一つ僕の経験をお伝えしておきますが

「ご自分たちではWebの手続きひとつ出来ない」というような手取り足取りの支援が必要な事業主様たちだからといって、「向上心がない」とか「熱意・やる気がない」とか、そんなことは全くないのです。むしろそれは真逆。
ご自分の商売そのものについては、むしろ中途半端な大手の社長さんなんかより、よっぽど熱く一生懸命取り組まれています。その熱意は、ホンとに現場へ行って見聞きしてみると、毎回舌を巻くほど。

彼らが苦手なのは「これまで自分の商売を一生懸命やっていればなんとかなってきた」のが「ネット」「IT」「SNS」「キャッシュレス」なんていう、今までやったことのないものもプラスアルファで取り組んで頑張らなきゃならない、その部分について未経験で苦手意識があるだけの話。
この「未経験」と「苦手意識」を一緒にやることで軽減してあげれば、徐々に徐々に、こういう分野へも一生懸命取り組むようになっていただけるんです。

実際、「Yahooってなに?」「ホームページ?むりむり」なんて言っていた方を一生懸命支援して「自分でホームページ作って、それを集客に結びつけて、見事に経営回復して、一時は自分の代で閉めようかと思ってた店を事業承継させた」なんていう事業主さんも、実際いるんですから。

あ~~~、いやいや久しぶりに書いたらまあまあ長いこと長いこと。

けど、ホントのホントの、本当に現場へ行って小規模事業者支援を「専門家」として続けるには、こういうことの繰り返しが必要なんだということを、少しでも自分の経験からお伝えできればと思って、長々と書いた次第です^^;